第六十四段「吾が間をして必ず探りて」


今回は「用間編」から、

実際の諜報活動のさらに具体的な方法について。


 「およそ攻撃したい軍隊や、攻略したい城邑や、暗殺したい要人については、必ずその軍隊指揮や城邑守備や要人警護などの任に当たる将軍や、左右の側近、謁見の取り次ぎ役、門衛、雑役係などの姓名を事前に割り出した後、配下の間諜に必ず彼らの身辺に探りを入れさせて、それらの人物の履歴、性癖、境遇などを調べ上げさせよ。」


 この段では、実際に戦闘行動や非公然活動を実行するに当っても、自前の情報収集活動の実施が必要である事を述べている。


戦闘行動において「謀攻」を計る場合、指揮官の抱きこみが可能であるならば実施しない手はない。


また、要人暗殺を行う際にもその警備状況や、側近など様々な周囲の人間の身辺調査は不可欠である。


その地位が低ければ低いほど、なりすまし等の準備活動は容易である。


また要人に近い人間であっても、その履歴に弱みを持つ者や、境遇に不満のある者、金銭や女性に弱い性癖を持つ者が存在するならば、これを利用しない手はない。


諜報活動の原則をより細やかに説明した段であると言えよう。



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